ノビコト

教育ライター 兼 双子母 が子供に関するあらゆる情報を発信

【男女双子母が紹介】不妊治療で双子妊娠の確率が上がる? 知っておきたい双子の妊娠・出産

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人口動態調査によると、100組に1組の確率で生まれている双子。この記事では実体験に基づき、双子の妊娠・出産について紹介します。

 

 筆者が双子を妊娠したとき

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筆者は男女の双子の母です。妊娠をしたとき、医師には「お腹の赤ちゃん、双子だね」とはげます調子で言われました。

 

「あなたは背が高いし、双子が大きくなっても耐えられる! きっと大丈夫!」

 

そうか、これは力強くはげまされる事態なのか……。医師のエールに、かえって漠然と不安を覚えたことを記憶しています。 

 

双子を妊娠したこと自体への驚きはありませんでした。むしろ、心の大部分を占めたのは「ああやっぱり」という思いです。これは「予感があった」といった、スピリチュアルな話ではありません。

 

単純に、その周期の排卵数が2つであることをあらかじめ把握していたためです。

 

10組に1組と言われる不妊症。筆者もまた不妊治療のため、二年近く専門病院に通院していました。不正出血の治療を兼ねて通っていた産婦人科の期間も入れると、五年ぐらいは経っていたかもしれません。

 

もちろん、排卵したからといって着床するとは限らないから不妊症なわけですが、妊娠に気づいた段階で双子になる可能性を意識はしていました。

 

一卵性と二卵性。不妊治療をしていると二卵性双生児が生まれやすい?

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出産後、入院先の大学病院で病棟看護師さん数名から「男女だから二卵性だね。自然にできたの? それとも治療で?」という質問を受けました。不妊治療と二卵性双生児にはどのような関係性があるのでしょうか。

 

そもそも一卵性双生児と二卵性双生児の違いって?

「娘と息子は双子なんです」と説明したときに、「へえ、それで一卵性と二卵性どっち?」と返された経験が、これまで何度かあります。

 

男女の双子は必ず二卵性です。一卵性であれば遺伝子情報が同じなので、性別が異なることはあり得ません。

 

一卵性双生児はなんらかの原因で、ひとつの受精卵が多胚化した場合にできるものです。ひとつの受精卵が分かれたわけで、持っている遺伝子はまったく同じ。結果として、双子の容姿はそっくりになります。

 

対して二卵性双生児の遺伝子は、普通の兄弟姉妹と同じように約50%しか一致しません。卵子も精子もそれぞれ違います。

 

では、なぜそんなことが起こるのでしょうか。

 

多排卵によって二卵性双生児は生まれる

女性には妊娠に最適な排卵期というものがあります。排卵期は、個人差こそありますが、月経開始のだいたい二週間前です。排卵する数は基本的には、一周期あたりひとつと決まっています。

 

しかし、体質や不妊治療の影響で、複数の排卵となることもあるのです。2つの卵子がそれぞれ別の精子と受精し、着床した場合に、二卵性双生児となります。

 

どうして多排卵になるの?

複数の排卵になる原因としては、「遺伝的要因」や「不妊治療の影響」が挙げられるそうです。

 

筆者の場合は、この「不妊治療の影響」が該当します。不妊治療をしていると、排卵誘発剤の作用で、卵子が複数育ったり、体外受精で胚を複数個移植したりすることがあります。

 

筆者が妊娠したのは、初めての体外受精に失敗してから二周期目のことでした。その周期は、たしか排卵誘発剤のセキソビットを服用していたと記憶しています。

 

排卵誘発剤とは、卵胞(卵子を育てる袋)を成長させ、排卵を促す薬です。この排卵の促進によって、複数の卵胞が育つケースがあります。筆者が妊娠した周期も、セキソビットの作用で卵胞が2つ育っていました。こうした事態は不妊治療において珍しくありません。

 

体外受精においても多胎妊娠防止の動き

日本産婦人科学会では平成20年4月12日の第60回総会で「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」を発表。

 

「生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一」「ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容」としています。

 

つまり、不妊治療を行っている病院では、多胎になる可能性をむやみに高めないような取り組みをしているということです。

 

ただし、筆者が体外受精をしたときに移植した胚は2つでした。年齢は35歳未満、体外受精も初でしたが、「ここまで不妊治療を続けてきて、結果が出ていないことを考慮しての判断」だそうです。「そう簡単には着床しないだろう」という考えがあったのでしょう。

 

先にも述べたとおり、実際このときはどちらも着床しませんでした。

 

双子は切迫早産の可能性が高い。多胎妊娠に伴うリスク

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双子妊婦になった筆者は「ハイリスク妊婦」として、大学病院に通うことになりました。双子妊娠のリスクにはどんなものがあるのでしょうか。

 

周産期母子医療センターのある病院での出産を推奨

双子の妊娠をエコーで確認した日、不妊治療の担当医から「紹介状書くけど、近くに大きな病院ある? 双子の出産ができる病院は限られているよ。周産期母子医療センターがあるところじゃないと駄目」と告げられました。

周産期母子医療センターとは、周産期(出産前後)にかかわる高度な医療を扱う施設で、産科と新生児科がセットになったところを指します。

家の近くで産めばよいと安易に考えていた筆者にとっては目から鱗。「そういうものなのか」と認識を改めました。

 

提示された選択肢の中から大学病院を選んだところ、そこの医師からも「双子妊婦にはトラブルがつきものです。世間の言うところの安定期はないものだと思ってください。多くの妊婦が、切迫早産で30週前後から入院をします。十人いれば九人入院するぐらいだからほぼ確実と考えてもらってよいです」と釘を刺されました。

 

結果として、筆者は入院なしに38週の帝王切開予定日をむかえたレアケースでしたが、一般的には出産まで入院生活が続きます。なお、なぜ38週だったかというと、双子の場合、そのあたりを過ぎると胎盤などの機能が低下し、おなかの子供に悪影響だからと言われました。

 

双子はDDツイン・MDツイン・MMツインの3タイプ。タイプによって異なるリスク 

双子の分類といえば一般的には「一卵性双生児」(1000組に4組)と「二卵性双生児」。けれど、より重要なのは「膜性」のほうです。ここでは双子の3つのタイプについて紹介します。

 

産科医は「一卵性」「二卵性」で判断しない

講談社から出版されている、周産期の現場を描いた鈴ノ木ユウ先生の漫画「コウノドリ」をご存知でしょうか。綾野剛主演でドラマ化もされていて、男女を問わず読まれている、とても面白い作品です。

 

この「コウノドリ」の5巻には、双子をテーマにしたエピソードが収録されています。

 

物語冒頭のシーン。主人公の鴻鳥サクラが、双子を妊娠した夫婦から一卵性か二卵性かを問われ、「わかりません」と答えます。「産科医は一卵性・二卵性で双子の赤ちゃんを区別しませんから」と、「膜性」の3タイプについて説明を始めるのです。

 

では、膜性とはなんでしょうか。双子を妊娠すると必ず調べるのが、赤ちゃんを包む羊膜と絨毛膜の数です。以下、簡単に紹介します。

 

・DD ツイン(dichorionic diamniotic twins)

一番多いタイプです。二卵性双生児の場合、確実に二絨毛膜二羊膜になります。胎盤も羊膜も子供一人につき、ひとつずつあります。おなかの中で、双子にひと部屋ずつ確保されているような状態です。一卵性の場合、全体の四分の一がDDツインだと言われています。

 

・MDツイン(monochorionic diamniotic twins)

MDツインは、ひとつの胎盤と絨毛膜を、双子で共有している状態です。二人の間は羊膜で仕切られているため、部屋自体は分かれています。

 

・MMツイン(monochorionic monoamniotic twins)

双子の赤ちゃんの1%に見られるタイプです。赤ちゃんはふたりとも同じ部屋にいて、ひとつの胎盤と絨毛膜、羊膜を共有しています。

 

筆者は二卵性の双子を授かったため、DDツインでした。

 

リスクはDDツインが最も低く、次いでMDツイン、MMツインの順だそうです。

 

膜性について知りたい場合は、

多胎妊娠 | 和歌山県立医科大学 産科婦人科

上記リンク先に図が載っているため参考にしてみてください。

 

 

膜性によって変わってくるリスク

妊娠初期に「バニシング・ツイン」といって、片方の子供の成長が止まり、見えなくなってしまうケースがあります。普通はそのまま一人だけが育つそうです。

なお、非常に珍しい事例としては、「赤ちゃんが2人の胎児を宿して生まれてきたケース」、「脳腫瘍をとったら中から胎児が出てきたケース」もあります。

 

妊娠中は体調管理に気をつける必要があります。

双子妊婦は、妊娠高血圧症候群は単胎の二倍、妊娠糖尿病も起こりやすいそうです。筆者が医師から言われたとおり、切迫早産で入院するケースが大半を占めます。だいたい、四割の赤ちゃんが早産で生まれてくるそうです。

 

更に、MDツインだと、一時発達遅延や双胎間輸血症候群(双子に流れる血の量が偏ること)による一児死亡が起きやすいそうです。

MMツインでは、MDツインのリスクに加え、臍帯が絡まり、胎児が突然死してしまうリスクもあるとのこと。

 

筆者はこういった症状とは無縁でしたが、おなかが大きくなるにつれて、足の付け根が立ち上がるのに難儀するほど痛かったです。

 

 

参考になる書籍

「最新版 双子&三つ子ママの妊娠・出産・育児」

出産中に読みました。多胎児に特化しているため、ほしい情報が入手できます。

 

「コウノドリ 5」

先述したコウノドリ。この作品は妊娠中から、夫婦で読むことをおすすめします。

最大のおすすめポイントは、妊娠・出産に関する偏見や思い込みに対し、作者がフラットな姿勢を貫いている点。学べることがたくさんあります。

 

27巻までのセットもありました。「夫が子供の世話しないのではないか」という不安を持っている人、「妊娠・出産についてもっといろんな情報を知りたい」という人には通読をおすすめします。繰り返しになりますが、ぜひ夫婦で読んでみてください。

 

ドラマ版の出来もすごくよいです。少し脱線しますがドラマ版「コウノドリ」について少し感想めいたものを書きます。

通常、妊娠・出産の現場を描く作品は、ヘテロセクシュアル(異性愛者)による再生産(出産)を手放しで礼賛するものになりがちです。それは、出産を望まない/望めない人間にとって押し付けがましいイデオロギーとして機能しがちなものでしょう。

 

しかし、コウノドリは「妊娠・出産は素晴らしいから、産めよ殖やせよ」といった暴力的なメッセージを発する作品ではありません。

ドラマ版はより一層そのあたりに自覚的な作品として仕上がっていた印象を受けました。

 

家族のいなかった鴻鳥サクラはシーズン2のラストで、「疑似的な家族」を獲得します。これはドラマオリジナルの展開です。こういう周産期の現場を扱った作品で、「血縁的な」家族ではなく、「疑似的な」家族を得る流れで終わらせたのは見事だと思いますし、脚本に強い意図を感じます。

 

このラストにつなげるために、鴻鳥サクラ(綾野剛)と四宮春樹(星野源)の関係性は原作以上にブロマンスを意識した描写になっています。原作とは異なり小松留美子(吉田羊)の子宮を摘出するエピソードが描かれている点も、このラストにつなげてのメッセージ性をこめた展開でしょう。

 

なお、脚本家の中には「HUGっと! プリキュア」のシリーズ構成の坪田文さんがいます。

始まる前には「プリキュアが子育てなんて『女の子だって暴れたい』の初代の志はどこにいったんだ。保守化にもほどがある」と痛烈な批判を浴びていた「ハグプリ」。

蓋を開けてみたら、これまでの作品の中でもジェンダー的に攻めた内容だと賞賛されていました。コウノドリの姿勢とも通底するのかもしれません。

まとめ

双子の妊娠・出産には、単胎にはないリスクが伴います。そのため個人の産院では断られてしまうケースがほとんどです。できるだけ、周産期母子医療センターのある病院での出産をおすすめします。

 

双子妊娠にはさまざまなリスクがあり、不安に思うことでしょう。しかし、筆者のように特に問題なく帝王切開予定日を迎えるケースもあります。つわりもほとんどありませんでした。

 

あまり気負い過ぎず、健診だけはきちんと受けるようにするのがよいでしょう。