「塾の先生が嫌い」という子供は少なからずいるでしょう。それもそのはずで、塾業界にいた私も常々「塾講師はよくも悪くも個性的な人が多い」と感じていました。この記事では、元塾講師の目線で「これはちょっと……」という先生のタイプと、そうした先生に当たってしまった場合の対処法を紹介します。
玉石混交の塾の先生。困った先生はどんなタイプ?
塾の先生は玉石混交です。中にはあきらかに困ったタイプの先生もいます。具体的に紹介していきましょう。
特定の子供をひいきする先生
子供同士の「あの子、ひいきされてる」なんてウワサ話、よく耳にしませんか。根の葉もない言いがかりであるケースが多いですが、実際にひいきをする先生も中にはいます。
私の体験したケースは、「特定の生徒へのあてつけとして、特定のグループをひいきする」という最低なものでした。その先生は三十代の男性で、塾の中でもかなりの高学歴。T大理Ⅲを出ていて学歴に関しては申し分ありません。
実際、塾の顔として強く推されていた時期もあります。ただ、一部の保護者から慕われている反面、一部の保護者からのクレームが絶えない人でもありました。
承認欲求が強く、「子供に慕われたい」という気持ちを強く持つ先生で、そのために自分を慕うよう特定の生徒を囲い込んでいました。たとえば「〇〇くんや◇◇ちゃんはさすがだな。△△くんは〇〇くんや◇◇ちゃんを見習えよ」といった発言をクラス内で連発。生徒を意図的に分断することで、自分を支持する派閥を作り上げていったのです。
こうした派閥争いは大人の社会でも、(いやな話ですが)よくあることではあるでしょう。しかし、先生が生徒相手にやってしまったら大問題……を通り越して問題外です。いちいち引き合いに出される側にとっては面白くありませんし、なにより心が傷つきます。子供相手にそんな大人げないふるまいはすべきではないのです。
「〇〇くんには俺の作った問題をやらせてやろう。あ、△△くんはダメだ」など、いちいちのけ者を作りたがる先生の振る舞いが問題になり、塾は対応に追われました。その先生はほかにも多々問題があり、徐々に塾長と対立。最終的には自ら去っていきました。
度を越したジョークを言う先生
強面ですが、冗談が上手く、子供たちの心をつかむのを得意とする先生がいました。この先生も三十代男性でした。
ちょっとした毒舌家で、その毒こそを子供たちは魅力に感じていたようです。子供は意外と、身も蓋もない大人の言動を好む傾向にあります。本音で話してくれている気がするのでしょう。怒らせると怖い先生でしたが、ピリリと教室が引き締まるため、親たちの信頼は厚かったです。授業も魅力的でしたし、尊敬できる点もたくさんありました。
ところが、ある日、その先生が耳を疑うような冗談を言っていました。太った子供に対する容姿いじりで、かなりどぎつい表現でした。しかし、話術に長けていて、場の空気をかっさっらうのが上手な先生であったため、いじられた本人も周囲の反応につられて一緒に笑っていました。
私は水を差すのを承知で「〇〇くん、今の言葉、ぜんぜんそんなことないから。先生、なんて言い方をするんですか」と苦言を呈しました。悪口であれ誉め言葉であれ、ことさらに容姿ばかりを話題に取り上げるのはよくないことです。まして、先生と生徒の関係であれば、なおのことでしょう。
翌日、発言は問題になりました。子供が「先生にこう言われた」と親に報告し、親が愕然としたためです。塾に抗議が入り、当然ながら先生は謝罪しました。その場ではなんとなくつられて笑ってしまっていた子供も、だんだんと意味を理解し、先生との仲はぎこちないものへと変化していきました。
生徒を叱る際に、モノに当たる先生
モノに当たる先生は少なくありません。私の勤めていた塾では、男性の先生数名にその傾向がありました。生徒を叱るときに机を両手で叩いたり、ドアを蹴ったり。威嚇することで、生徒に言うことを聞かせようとするのです。
たしかに、集団をまとめあげる際に、叱ることもときには必要となります。生徒におそれられれば、授業中の私語や悪ふざけも減るでしょう。しかし、だからといってモノに当たるのは安易ですし、生徒を尊重する気持ちがあまりにも欠けていると言わざるを得ません。
塾の先生の一部は、子供相手に高圧的なふるまいをする
塾の先生の多くは、子供の目標を叶えてあげたいという熱意を持っています。しかし、その熱意のぶつけ方に問題のある先生もまた一定数いるのです。
本来なら、先生は子供より強い立場にあります。ですから、「相手は子供だ。自分のほうがこの教室内では権力がある。注意深く接しなければ」と考えるべきなのです。
ところが、残念ながら「相手は子供だ。自分のほうがこの教室で権力がある。見せつけてちゃんと指示に従わせないと!」と高圧的になってしまっている先生にたびたび出会いました。
生徒の成績を上げてやりたい気持ちが暴走して、生徒を尊重する姿勢がおざなりになってしまうのです。
「塾の先生が嫌い!」と子供に言われたら
まずは、「どうしてそう思うのか」「なぜ先生のことが嫌いなのか」を子供からヒアリングしてください。理由を細かく聞き出し、メモをしっかりとって、塾長に伝えます。伝える相手は本人ではなく塾長です。情報を塾内で共有して、うやむやにされないようにしましょう。
塾長には先生へのヒアリングを行ってもらうように依頼し、折り返し電話をしてもらってください。その際、該当の先生にどう働きかけるのか、塾全体としてどう対応していくのかについても聞いてみましょう。
塾の先生は、自分の落ち度を塾長やほかの先生に把握されると動揺するものです。塾の性質上、担当クラス・担当生徒以外の情報を共有しづらい環境があり、それが各先生のワンマンを許しています。塾長をはじめ、周りに問題点を広く知らせるというのは有効な対処法なのです。
もし、「あまりことを荒立てたくない」というのであれば、塾長にだけ事情を話して速やかに先生を交代してもらいましょう。
ただし、個別指導ではなく集団授業の場合はそう簡単に交代してもらえないので、腰を据えて徹底的に話し合うか塾を移るかの二択になります。とにかく、家庭にとって一番よい方法を選んでください。
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