中学受験指導に当たっていた頃、多くの子供が図形を苦手としていました。とりわけ、円周率が出てくると計算が煩雑になるため途端にミスが増えるのです。扇形の平面図形もまた、ひっかかりやすい問題のひとつです。
この記事では算数が苦手な子供にも伝わるよう、解き方を紹介していきます。
- そもそも扇形ってどんな形?
- 中心角を求めよう! 弧の長さの公式を用いた解き方
- 扇形の中心角を求める公式とは?
- 扇形の面積を求める公式とは?
- 中心角を出さないと答えが求められない問題ばかりではない
- 解くための公式を忘れないようにしよう
そもそも扇形ってどんな形?
ひな人形が持っている扇を見たことはあるでしょうか。下図のような形をしています。
丸いケーキを想像してみてください。三人分ぐらいに大きくカットしたらこんな形になりますよね。
扇形とは、円の2本の半径および、その間にある弧(円周上の2点をつないだ部分)で囲まれた図形のことです。
下図を見てください。半径2本とその間の弧で囲まれた部分が扇形です。ちょうどホールケーキの4分の1カットですね。
しかし、実は、残ったケーキ(4分の3)も、半径ふたつと弧で囲まれているため扇形に該当します。
そのため下図3例はバラバラの形に見えて全て扇形です。
さて、上の図ですが、それぞれ灰色に着色された部分がありますね。ここがおうぎ形の中心角ですので覚えておきましょう。
中心角を求めよう! 弧の長さの公式を用いた解き方
それでは実際に中心角をどのように求めたらよいのかを見ていきましょう。
弧の長さの公式を用いる中心角の求め方
ひとつめは弧の長さの公式を用いた解き方です。再度、この図を見てみましょう。
ぐるりと丸い円を描くと、円の大きさにかかわらず、その中心角は360度です。
さて、上の図を見てください。図の中心角が90度だったとしましょう。
90度分の弧の長さを知りたいのであれば、90度/360度、すなわち円周の1/4の長さを求めればよい計算になります。
たとえば、円周の長さが36cmだとしたら、90度分は36×1/4=9cmですね。
では、同様に円周の長さが36cmだったとします。120度分の弧の長さはいくつでしょう。
円周の長さが36cmだとしたら、120度分の弧の長さは36cmの1/3(120/360を約分)で12cmになりますよね。
つまり、12cm(弧の長さ)=36cm(円周)×120度(中心角)/360度というわけです。
さて、ここで円周の公式は覚えていますか?
円周とは直径×円周率によって求められます。
そのため、
弧の長さ=直径×円周率×中心角/360度ということができるのです。
扇形の中心角を求める公式とは?
扇形の中心角を求める式の作り方ですが、こう考えましょう。
中心角/360=弧の長さ/円周
この式は円の中で扇形の中心角が占める割合と、円周の中で弧が占める割合が一緒という意味です。
よって
中心角=弧の長さ/円周×360
の式がなりたちます。
扇形の面積を求める公式とは?
続いて扇形の面積をどのように求めたらよいのかについて考えましょう。
扇形は円の一部ですから、円全体の中で扇形が占める割合がわかれば面積を導き出すことができます。
たとえば、半径3cmで中心角120度の円の面積を求めなさいという問題が出題されたとします。円周率=3.14で考えましょう。
この円全体の面積は
円の面積=半径×半径×円周率で導き出せます。
円の面積=3×3×3.14
つまり28.26㎠です。
扇形の面積はこの円の120/360(約分して1/3)なので
28.26×1/3=9.42
よって9.42㎠です。
では、もし半径が4cmで90度の扇形だったら面積はどうなるでしょうか。
その場合は
4×4×3.14×90/360=12.56
12.56㎠です。
中心角を出さないと答えが求められない問題ばかりではない
さて、では下の問題はどうでしょうか。
半径が4cmで弧が18.84cmです。
問題を見て「中心角がわからない。そうだ、求めよう」と考えた人も多いことでしょう。
しかし、この場合は下の公式を使うとラクです。
弧の長さ×半径÷2=おうぎ形の面積
非常に便利な式なのでぜひ覚えてください。
さて、数字を入れてみましょう。
18.84cm×4÷2=37.68
よって、37.68㎠です。
解くための公式を忘れないようにしよう
中学受験は覚えることが多すぎて、暗記が間に合わず、公式の一部を忘れたまま本番に臨む子供もいます。公式は定期的に覚え直して忘れないようにしましょう。
この記事で紹介した公式は以下のとおりです。
中心角/360=弧の長さ/円周
弧の長さ=直径×円周率×中心角/360度
中心角=弧の長さ/円周×360
弧の長さ×半径÷2=おうぎ形の面積
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