桜蔭中学校は日本の女子の進学先として、トップに君臨する名門校です。女子の御三家の中でも頭ひとつ抜きんでています。この記事は、桜蔭中学校への進学を検討するにあたり、知っておかないと損する情報を元中学受験塾講師がまとめました。
なお、情報は記事を執筆した時点のものです。
- 桜蔭中学校はこんな学校!偏差値や特徴を紹介
- 桜蔭の入試情報
- 桜蔭入試問題の出題傾向は
- 目指せ合格ライン。桜蔭の国語・算数・理科・社会の対策は
- 桜蔭は書く力とスピード感を磨いて
桜蔭中学校はこんな学校!偏差値や特徴を紹介
桜蔭中学校はどんな学校なのでしょうか。
桜蔭中学校の偏差値は?
四谷大塚で71、首都圏模試で78、日能研68、サピックス62です。
模試の難易度で偏差値も変わってくるので、それぞれの模試を基準に考えてください。
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桜蔭中学校はどんな学校?
桜蔭中学校はどんな学校なのでしょうか。
東京大学へ進学する生徒が多い
桜蔭は御三家のひとつで、女子の最難関中学校です。東京大学への合格者が多いことでよく知られています。
過去四年の東京大学への進学率です。
2020年度85人
2021年度71人
2022年度77人
2023年度72人
その他の進学率はホームページを参考にしてください。
建学の精神は「礼と学び」
桜蔭学園の建学の精神は「礼と学び」です。時代を反映した学習や道徳の指導を実施。品性と学識を備えた人間の形成を目指しています。「礼」と聞くとやや保守的な印象を受けるかもしれません。たしかに、桜蔭学園では、食事から襖の開け閉めに至るまで教育します。
しかし、桜蔭学園が最終的に目指すのは、あくまでも自立した女性の育成です。「礼法」で学ぶのは表層的なマナーに留まらず、相手を尊重し、異なる価値観を持つ相手と協働することのできる心。つまり、子供たちの生きる未来が豊かなものであるよう、多様性を重んじる姿勢を大切にしています。
校訓は「勤勉 ・温雅 ・聡明であれ」「責任を重んじ、礼儀を厚くし、よき社会人であれ」です。
施設の充実!天体観測ドームがある学校
桜蔭には広い運動場、講堂や屋上、温水プールといろんな施設が充実しています。その中でも目を引くのが天体観測ドームとプラネタリウムです。天文への関心に応える設備が整っています。
桜蔭の入試情報
桜蔭の入試情報は以下のとおりです。
2024年度の桜蔭の入試は?
2024年度の募集人数は女子235人でした。2024年2月1日9時から試験を実施しました。
検定料は25,000円で、情報入力および支払い期間は2023年12月21日(木)12:00(正午)~2024年1月16日(火)23:59まで。出願期間は2024年1月10日(水)12:00(正午)~2024年1月16日(火)23:59。
詳細は学校ホームページでご確認ください。
2024年度の桜蔭の倍率
2024年度の入試は
出願者数 591人
受験者数 565人
合格者数 287人
補欠者数 30人
よって補欠を入れないと、倍率は約2倍(小数点第二位以下四捨五入)です。
桜蔭の入試の科目・配点・試験時間
桜蔭の入試の詳細は以下のとおりです。
桜蔭の入試科目と配点・試験時間
国語・算数・理科・社会の四科目の試験です。
国語 50分 100点
算数 50分 100点
社会 30分 60点
理科 30分 60点
初年度納入金
入学金 380,000円(入学手続時に納付)
授業料 年額 447,600円(入学後に納付)
施設費 年額 96,000円(入学後に納付)
教育充実費 年額 96,000円(入学後に納付)
生徒会費・PTA会費等 年額 26,500円(入学後に納付)
桜蔭入試問題の出題傾向は
桜蔭の入試問題はどのような問題が出題されるのか、見ていきましょう。
国語の出題傾向
国語の出題傾向は以下のとおりです。
制限時間と配点
国語は、50分の制限時間で配点は100点です。
問題構成
桜蔭の国語は大問がふたつで、説明文もしくは随筆文の読解と、物語文の読解が出題されるケースが多いです。設問の形式としては、記述の問題が多く出ます。そのため、書く力と読む力の両方が求められます。総合知識問題も大問の中に落とし込まれています。
文章量としては普通
難関校の国語としては、文章量が特別に多いわけではありません。だいたい字数は7000字~8000字の年が多いです。しかし、問題のほうにボリュームがあるため、速読が必要となります。
記述の分量が多い
桜蔭では、説明をさせるタイプの記述問題がよく出ます。書く作業で手間取っていると、あっという間に時間切れです。ここ数年は、字数指定のない記述問題がよく出ています。つまり解答欄の大きさを見て、落とし込む内容を自分で判断しなければならないということです。
算数の出題傾向
算数の出題傾向は以下のとおりです。
制限時間と配点
算数は50分の制限時間で配点は100点です。
問題構成
大問は四題~五題です。大問一は計算と小問集合、大問二以降は単元別の出題となります。途中式や考え方を書く問題が多く出題されます。
頻出単元は規則性・立体図形・数の性質・速さ
桜蔭の算数の頻出単元ははっきりしています。「規則性」と「立体図形」と「数の性質」と「速さ」、「論理と推理」、それから特殊算や不定方程式も解けるようにしておきましょう。
規則性は難問も出題
時間がかかる問題が多く、バリエーションも豊富なため、苦手意識を持つ子供が多いのが規則性の問題です。桜蔭の規則性は、解くのに時間のかかる難問も出題されます。
立体図形は立体の切断に注意
立体図形は立体の切断の問題や立体に水を入れる問題などが出ます。立体図形の問題は複数出題されることがあり、難易度もまちまちです。
理科の出題傾向
理科の出題傾向は以下のとおりです。
制限時間と配点
理科は30分の制限時間で配点は60点です。
問題構成
大問四題~五題です。理科では記述は少なく、語句を答える問題、計算問題、選択問題が中心です。国語・算数ほど難易度が高いわけではありません。ただし、知識量は求められます。
頻出単元は幅広い
生物分野であれば、「植物」「人体」「動物」「昆虫」化学分野であれば「熱伝導」「水の変化(固体・気体・液体)」「燃焼」「中和」「水溶液」など、物理分野であれば「力のつり合い」「電気」「音」「光」、地学分野であれば「地層」「気象」「天体」などです。
実験・観察の流れと道具の名称を押さえよう
多くの学校で頻出となる実験・観察の問題は、桜蔭でも例外ではありません。実験・観察の手順や器具の名前などが問われます。また、実験・観察の結果を表やグラフに落とし込んでいる問題もあります。
計算問題は解けるように
計算問題からの出題があるので、計算問題の出やすい単元は押さえておきましょう。力のつり合い、水溶液、飽和水蒸気量、電気などです。実験・観察の表やグラフから計算をするケースもあります。
社会の出題傾向
社会の出題傾向は以下のとおりです。
制限時間と配点
社会は30分の制限時間で配点は60点です。
問題構成
地理・歴史・公民・時事のすべての分野から出題されます。大問は三題前後です。語句を問う問題、選択問題、説明記述などバラエティに富んだ問題構成となっています。選択問題は正誤を判定するものや、並べ替えなどさまざまです。
頻出ポイントは地図や地形図、資料、年号(出来事の整序)
地理では、地図や地形図がよく用いられるので読めるようにしておきましょう。歴史では資料がよく出ます。また、出来事を年代順に並び替える問題も出ます。
難易度はさまざま
国語や算数ほど難易度は高くなく、問題のレベルには開きがあります。
時事問題
時事問題は他分野との関連で出題されます。
目指せ合格ライン。桜蔭の国語・算数・理科・社会の対策は
合格ラインは六割から六割五分と噂される桜蔭ですが、確実に受かるためにはどう勉強すればよいのでしょうか。桜蔭の国語・算数・理科・社会の対策について紹介します。
※なお、各科目で目標に掲げている点数はあくまで理想です。得意不得意がありますから、全科目合わせたときに合格ラインに到達できれば問題ありません。
桜蔭の国語。受験対策は
桜蔭の国語の対策は以下のとおりです。
桜蔭の合格点は非公表。六割五分を目指そう
合格点は公表されていません。最難関レベルといえる桜蔭の国語ですが、六割五分を目指したいところです。
先生に記述の添削をしてもらおう
塾の学校別対策コースを受講するのはもちろんですが、記述が苦手ならば別途対策してください。説明記述がよく出るため、要点をとりこぼしなくまとめる力が求められます。自分では書けたつもりでも、減点ポイントが発生しているケースはよくあるので、必ず先生に添削してもらってください。
その際に指摘された内容は必ず身につけましょう。記述は改善するのが難しく、同じ減点ポイントで足踏みしてしまうケースも珍しくありません。
実際に子供たちの文章を添削していると、「要点をとりこぼしていて文章が冗長」「読点の使い方がおかしい」「文体に統一性がない」「主語がわかりづらい」「文末が設問に対応していない」などさまざまな減点ポイントがあります。家庭で採点していると、見落としてしまう可能性があるので、プロに見てもらうとよいでしょう。
書き始める前に分量の予想を
正答として求められているのは、過不足のない内容です。重要なポイントをすべてまとめてどのぐらいの量になるか、書き始める前に予想が立てられるようになりましょう。目安としては二百字前後の練習をしておくとよいです。要点をまとめる練習は要約でもできます。読解文を解く前に一度、読んだ文の内容を二百字前後で要約してみましょう。繰り返しやっているうちに感覚が身につきます。
語彙力の不足は積み重ね
低学年のうちから読書習慣をつけておきたいものです。本を読み慣れていない子供は、問題を解くたびに少しずつ覚えていきましょう。漢字の書き取りもとめはねはらいまで意識してください。語彙力は積み重ねが大切なので、あとで一気に詰め込まずに済むようにしましょう。
実際には受験前になると、大慌てで四谷大塚の「四科のまとめ」のような教材を使って詰め込んでいる子供がたくさんいます。しかし、付け焼刃の知識は抜けるのも早いですし、実際の文章に落とし込まれたときにスムーズに理解できないことも多くあります。毎日少しずつ進めていきましょう。
言葉の意味はルーズリーフに落とし込もう
知らない言葉を覚えるにあたり、記憶力のよい子供であれば、その都度意味を調べるだけでも大丈夫かもしれません。しかし、なかなか頭に入らない子供は、語彙専用のノートを作っておいてはどうでしょうか。
ルーズリーフを五十音にあわせて一枚ずつ用意します。わからない言葉と出会ったら、ノートに書き留めます。「あ」で始まる言葉は「あ」のページに、「ひ」で始まる言葉は「ひ」のページに、といった具合に言葉と意味と出てきた際の文章を書いておくのです。時間があるときに読み返すとよいでしょう。
桜蔭の算数。受験対策は
桜蔭の算数の対策は以下のとおりです。
桜蔭の合格点は非公表。六割五分を目指そう
合格点は公表されていないのでわかりません。六割五分を目指しましょう。
半分以上は解ける
桜蔭の算数では、受験者のほとんどが解けるレベルが五割強を占めていて、解けない子供が多い超難問は一割強程度です。つまり、それらを差し引いて残った問題が解けるかどうかが合否の境目となります。
桜蔭の算数は頻出単元を先に固めておく
桜蔭の算数は頻出単元がはっきりしているので、まずはそれらの単元をきっちりやり込んで仕上げましょう。具体的には「場合の数」と「立体図形」と「数の性質」と「速さ」と「論理と推理」です。
また、不定方程式や特殊算を使いこなせるようにしておきましょう。場合の数は幅広く解いておいてください。いろんなバリエーションで出題されます。2024年度は「平面図形」も出題されました。
桜蔭の過去の傾向として「平面図形」の出題は少なめですが、今後の出題傾向を注視する必要があります。
立体図形は捨て問も
「立体図形」は解きやすい問題が出題される一方で、捨て問にするべき超難問も出やすい単元です。もちろん、「立体図形」に限らず各分野に捨て問に回したほうがよい問題はありますが、割合的にはやや高めです。過去問でどのレベルまで解けば合格点をとれるのかを見極めましょう。
桜蔭の算数は難易度順ではない
簡単な問題から始まって、最後の大問に向けて徐々に難易度が上がっていくタイプのテストも多いですが、桜蔭の問題はそうではありません。そのため、初めのほうで手間取っていると時間配分を間違えてしまいます。自分の解ける問題から確実に解いてください。
桜蔭の理科。受験対策は
桜蔭の理科の対策は以下のとおりです。
桜蔭の合格点は非公表。八割を目指したい
桜蔭は理科でほとんど差はつきません。難しくないためです。合格点は公表されていませんが、確実に合格するためには八割を目指したいところです。
テキストの解説ページを隅々まで読み込もう
基礎的な問題も意外と出題される桜蔭ですが、その基礎も細部に至るまで知識として身に着けておく必要があります。テキストの解説ページは細かな情報まで押さえておきましょう。
実験と観察をひと通り説明できるように
実験と観察はひと通り手順を押さえておきましょう。器具名に始まり、どういう手順で進めて、どういう注意事項があるか、結果をどう理解すればよいのかを口頭で説明できるようにします。家族に聞いてもらうとよいです。相手がわかるように説明できるレベルにまで仕上げておきましょう。
計算問題を間違えないよう
桜蔭の理科の計算問題は、合っているか確証が得られないような半端な答えが出ることもあります。解き直している時間はほぼありません。計算問題の答えを受けて、次の問題を解かなければならない大問もあるので注意して臨みましょう。
時間配分に気をつけて
問題数に対して時間が短いので、時間配分を間違えずに済むよう過去問でイメージトレーニングしておきましょう。
桜蔭の社会。受験対策は
桜蔭の社会の対策は以下のとおりです。
桜蔭の合格点は非公表。八割を目指したい
社会も理科と同様、あまり難しくはありません。合格点は公表されていませんが、確実に合格するために八割を目指しましょう。
書いて覚える作業も必要
社会の基礎は目を通しただけで覚えている子供も多いでしょう。実際、受験間際はいかに時間をかけずに総ざらいをするかが問われます。しかし、語句の漢字のミスで失点していては大変です。難しい字は必ず書き出しておきましょう。
地理の復習に注力しよう
基本的に中学受験塾では地理→歴史→公民の順に学びます。そのため、四年生から学んだ地理はどうしても、記憶が抜けていきやすいです。桜蔭では分野を横断する出題もあり、その基礎には地理があることも多いです。地図や地形図の知識を入れ直し、その上で各地の特徴やグラフでのデータなどを覚え直しておきましょう。
歴史では年代順を頭に入れよう
整序、いわゆる並べ替えの問題が出題されます。時代順を頭に入れておかないと解けないのでちゃんと復習しておきましょう。年号も必要に応じて覚えたほうがよいですが、基本的には出来事の因果関係を説明できることが大切です。家族に口頭で説明してみましょう。
最後まで解ききろう
理科同様、時間配分がタイトなため、過去問を通してのイメージトレーニングが欠かせません。制限時間は30分ですが、小問はだいたい50問前後出題されます。
桜蔭は書く力とスピード感を磨いて
桜蔭は国語と算数の難易度が高く、理科と社会は、難易度こそ「そこそこ」ですがスピードと正答率の高さを要求されます。まずは過去問を解いて頻出単元や出題形式、時間配分の確認をしましょう。
算数の頻出単元ははっきりしているので、問題の研究がしやすいです。国語の記述は苦戦する子供も多いでしょうが、特化した対策をすれば実力はつきます。諦めずに、先生に添削をしてもらいましょう。
理科と社会は基礎から難しい問題までが混在していますが、合格ラインをとろうと思うと、基礎は確実に、難しい問題もそれなりに解ける必要があります。夏休みまでの早い段階で基礎は細かなところまですべて復習し、桜蔭対策を進めていきましょう。
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