読解力・想像力・語彙力・表現力。そのすべてが国語力に含まれます。興味を持てないまま、ぼんやりと教科書をながめていても国語力は伸びません。では、具体的にどうすればよいのでしょうか。教科書との付き合い方も含めて紹介します。
国語力アップの王道、読書。本嫌いの子供はどうすればよいの?
国語力アップにつながる王道の手段は、なんといっても読書です。しかし、中には読書嫌いの子供もいることでしょう。では、どうやって本への関心を引き出せばよいのでしょうか。
名作や推薦図書だから「ためになる」とは限らない
塾講師をしていた経験から言うと、教育熱心な親ほど子供に読ませる本を選別してしまう傾向があります。「漫画はあまり買わない」「名作や推薦図書だけ買い与えている」というのはよくあるケースです。
しかし、子供の国語力を養いたいのであれば、親の好みや理想はひとまず脇に置いておく必要があります。その子供がのめり込んで、何十回も読み直すような本を与えることが一番です。
また、推薦図書には何年生向けという分類がありますが、あくまで目安なので、あまりとらわれないことをお勧めします。
読書に漫画は含まれる? 漫画で国語力は上がるのか
「漫画じゃ国語力は上がらない!」と主張する大人はよくいるものです。しかし、漫画であっても国語力は上がります。
小説であれ漫画であれ、話の筋を理解する力、つまり読解力がなければ、楽しめないことに変わりありません。
また、読み手は「いったいこの後どうなるのか」と想像力を刺激されることで、続きを読みたいと願うもの。台詞やモノローグを通して語彙力も増えます。大好きな漫画なら、友達にも勧めたくなるでしょう。よさを伝えるには、プレゼンテーションの力、いうなれば表現力が欠かせません。
子供が夢中になりやすい漫画は、とっておきの教材なのです。
ゲームばかりで本は読まない、という子供にはノベライズを
「うちの子供はゲームばかりで、本を読まなくて」という相談を塾講師時代よく受けました。子供がゲーム好きならば、ゲームのノベライズから入るという手があります。
筆者の国語の偏差値は平均して75~79のあたりでしたが、これは小学2年生のときに、ゲームのノベライズと出会ったのが大きかったです。
幼児期から絵本はよく読んでいましたが、本にのめり込む一番のきっかけは、久美沙織著の「ドラゴンクエストⅣ」のノベライズでした。
小学2年生の夏、心躍る冒険活劇と魅力的なキャラクター、なにより圧倒的な比喩表現の美しさに心を鷲づかみにされ、何十回と読み直したものです。
タニス・リーの「闇の公子」をほうふつとさせる文体は、いま読んでも惚れ惚れします。
あまり子供向けを意識していないのか、辞書を引かなければわからない難解な言葉も多く、得た情報量はそれまで読んできた本とは比べ物になりませんでした。
大好きな本を読むことに勝る読書体験はありません。
国語力をアップするための教科書との付き合い方
国語力をアップするために教科書をどう活用すればよいのでしょうか。
教科書に載っている本を借りてみよう
教科書に載っている物語は、だいたい部分的な抜粋です。話の前後が気になって仕方ないという子供は少なからずいるでしょう。出典をチェックして図書館で借りてみてください。 本に対して興味を持つ、という最初のハードルを越えられるかもしれません。
近くの図書館に置いてなくても、ネットを通じて他の図書館から取り寄せてくれるところはたくさんあります。ネット対応をしていない図書館でも、カンファレンスに問い合わせれば対応してくれるでしょう。
もちろん、書店で購入するという方法もあります。
音読をして、語彙力をアップしよう
とりわけ低学年のうちは言葉の読み間違いや、文節の区切り間違いなどをやってしまいがちです。そこでおすすめなのが、音読をすること。
音読ならば、間違いがあればその場で気づいて親が指摘できます。
また、声を使って表現することで、地の文と会話文のテイストの違いを実感できるはずです。
ただし、読書嫌いな子供に音読を無理強いすると、国語自体を嫌いになりかねません。本への関心をある程度引き出してからのほうが、スムーズに運びます。
まとめ
本を読むのが嫌いな子供は、「読書」と聞くと身構えてしまうものです。
名作や推薦図書を子供に無理強いするのではなく、苦手意識を取っ払うためにどういう工夫ができるのかを考えてみましょう。
「好きな漫画をたくさん読ませる」「好きなゲームやアニメのノベライズを入口にする」「教科書に載っている本で前後が気になるものを選ぶ」などさまざまな方法があります。
ぜひ一度試してみてください。
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