塾で教えていたときに、生徒がよくつまずいた単元として「会意文字・形声文字・指示文字・象形文字」が挙げられます。この記事ではそれぞれの漢字の違いを紹介します。
「分解できるチーム」と「分解できないチーム」に分けよう!
「会意文字・形声文字・指示文字・象形文字」と文字が4種類もあると、頭が混乱しますよね。少しでもわかりやすくなるように、まずはふたつのチームに分けてみましょう。
チームは以下の2種類です。
・「分解できる」チーム 形声文字・会意文字
・「分解できない」チーム 指示文字・象形文字
では、詳しく見ていきましょう。
分解できるチーム(形声文字・会意文字)
「分解できる」とは、ひとつの漢字を、複数に分けられるという意味です。具体例としては以下の漢字が挙げられます。
①姉→女+市
②河→さんずい+可
③男→田+力
④明→日+月
このようにバラバラにすることが可能です。
分解できないチーム(指示文字・象形文字)
「分解できない」とはひとつの漢字はひとつのままという意味です。具体例としては以下の漢字が挙げられます。
⑤一
⑥中
⑦口
⑧山
これらはバラバラにすることができません。
それぞれのチームの漢字を更に2種類に分けよう
さて、次に考えたいのが、それぞれのチーム内での分け方です。
「分解できるチーム」を形声文字と会意文字に分けよう
①姉
②河
③男
④明
「分解できるチーム」の上記4つの漢字の中で、形声文字はどれか、会意文字はどれか見てみましょう。
形声文字とは、意味と音の組み合わせ
形声文字とは、意味を表す部分と音を表す部分が合体してできた漢字のことです。
そのため、上記の4つの中では
①姉
②河
が該当します。
どういうことか見ていきましょう。
①の「姉」は「女」と「市」の2つに分けられますね。
姉(あね)の字は姉妹(シマイ)の「シ」とも読みます。「女」という意味と「市」(シ)という音が合体した漢字です。
②の「河」は「さんずい」と「可」に分けられますね。さんずいは水を意味し、可は「カ」と読みます。河(かわ)は河川(カセン)の「カ」とも読みますから、読み方は一致。「さんずい」の意味と「可」(カ)の音が合体した漢字だといえるのです。
「姉」も「河」も、意味と音(音読み)が合わさることで成立する漢字だとわかります。つまり形声文字です。余談ですが、「形声文字」を「形成文字」と書き間違える人は一定数いるので、気をつけたほうがよいでしょう。
↓なお、こんなグッズもあります。学ぶ上で、役立てるとよいかもしれません。
108形声文字カルタ (漢字がたのしくなる本教具シリーズ 4)
会意文字とはなにか。複数の形や意味を組み合わせ
会意文字とは、複数の形や意味を組み合わせて作られた漢字のことです。
先ほどの問題の
③男→田+力
④明→日+月
を見ればわかりやすいでしょうか。
③の男は音読みで「ダン」「ナン」と読みます。バラバラにした漢字を見てください。田は音読みで「デン」、力は音読みで「リョク」「リキ」。
④の明は音読みで「メイ」「ミョウ」です。バラバラにした漢字は、日が「ニチ」「ジツ」、月が「ゲツ」「ガツ」。そんなわけで、いずれも分解した字の中に合う読み方がありません。つまり、会意文字です。
形声文字では分解してみると音が隠れていましたが、会意文字では分解してもどこにも音が隠れていないのです。
形声文字は漢字全体の約九割を占めます。そのため、「分解できる」チームに関しては、代表的な会意文字だけ覚えておくとかなりラクになります。なお、基本的な考え方は上記のとおりですが、ややこしい漢字もありますので注意が必要です。
代表的な会意文字にはなにがあるの?
代表的な会意文字としては「休」「信」「明」「位」「孫」、それから同じ字を複数回使っている漢字「林」「森」「炎」などが挙げられます。
「分解できない」チームを指示文字と象形文字に分けよう
⑤一
⑥中
⑦口
⑧山
「分解できないチーム」の上記4つの漢字の中で、指示文字はどれか、象形文字はどれか考えてみましょう。
指示文字とは記号的な漢字
⑤一⑥中⑦口⑧山と4つの漢字の中で、どれが指示文字でしょうか。
指示文字はざっくり説明すると記号的な漢字です。この問題の中では⑤一と⑥中が該当します。
一つだけだから線一本で表現、中だから、真ん中にぶすっと線が引かれている形と覚えればよいですね。
象形文字とは絵文字のような漢字
象形文字の「象」は「象(かたど)る」と読みますし、形は「かたち」ですよね。
つまり、形から作られた字で、象形文字はいわば絵です。⑦の口は口の形を漢字にしたものですし、⑧の山も山の形を漢字にしたものです。
「分解できるかできないか」からスタートしよう
「形声文字・会意文字・指示文字・象形文字」を見分けるためには、漢字を「分解できるチーム」「分解できないチーム」に分けて、それからそれぞれのチーム内で「形声文字か会意文字か」「指示文字か象形文字か」を見極めます。
形声文字は意味と音の組み合わせ、会意文字は音は関係なし、指示文字は記号、象形文字はいわば絵だとざっくり理解してください。
形声文字が漢字の9割を占める点も押さえておきましょう。あとは、分類の難しい漢字だけピックアップして覚えれば、点数につながります。
「とっさに音読みが浮かばないし、上手く分類できないよ」と漢字自体に苦手意識が強い小学生におすすめしたいのが、ゲームを活用する手。
漢字ゲームを持っている生徒はたくさんいました。よく授業の合間の休憩時間に対戦していたものです。ストレスにならずに漢字に触れられる点が魅力。
難点は後片付けが苦手な子供だと、カードが欠ける点ですね……。親が対戦相手のときには、念のためチェックしてあげるとよいかもしれません。
ちなみに、塾の休憩時間だけでなく家庭教師先の休憩時間にもやっていたので、塾や家庭教師に取り入れてもらうようお願いするのもアリですよ。
塾や家庭教師の休憩時間中、勉強の要素を取り入れた遊びを積み重ねると、かなり効果があります。
なお、国語力の育成についてはこちらの記事で紹介しています。
【実力向上】国語力がないと嘆く前に。「創作あそび」で楽しく作文!
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