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ノビコト

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読み取る力をつけるには。知っておきたい国語力を鍛える方法

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「国語力を鍛えるためにはどうすればよいですか」。生徒やその保護者からよく聞かれる質問です。この記事では、国語力を上げるための実践的な取り組みについて紹介します。

 

 

「国語力と読書量は関係ない」はあり得ない

「国語力と読書量は関係ない」という記事をよくネット上で見かけます。教育記事としてはキャッチーな主張ですし、一面的には正しいでしょう。

 

たしかに、どれだけ本を読んでも、テストで正答と認められる記述ができなければ失点します。1点でも多く点数をとるために知っておきたい、テストならではのポイントやノウハウがたくさんあるのは事実です。


実際、生徒やその保護者から「国語力を鍛えるための方法」を問われて、「読書をしてください」と答えた経験はほとんどありません。時間のない受験生に読書を勧めても、まず無理だからです。

 

逆に、受験まで余裕のある家庭から同様の質問を受けた場合であれば、具体的なノウハウではなく「まずは読書習慣を」とおすすめしています。

 

読書は語彙力・表現力・読解力それらすべてをグンと向上させるものです。遠回りなやり方だと感じる人もいるようですが、はたしてそうでしょうか。国語は「成績の上がりにくい教科」として知られています。なぜ、成績が上がりにくいのかといえば、目の前の文章ひとつを理解したところで、積み重ねがなければ次回のテストにつながらないからです。


私の指導経験上、国語が得意な子供はだいたいが読書家でした。日頃から本を読む習慣があれば、テストで長文が突きつけられても怯みませんし、読んでいて知らない言葉もそうたくさんはありません。

 

マンガも読書。名作ばかり読む必要はない

子供に推薦図書のような名作ばかりを読ませたがる保護者は多いです。しかし、読書において一番大切なのはその本を好きであること。シンプルにその一点に尽きます。

 

なので、子供が楽しんで読めるなら、マンガだろうがノベライズだろうが作品はなんでもよいのです。退屈だなあとダラダラ流し読む読書スタイルか、あるいは作品に書かれている内容を少しでも咀嚼してやろうと意気込みを持って臨む読書スタイルかによって、作品への理解度は大幅に変わってきます。

 

好きな文章を書き出すノートを作る

読んでいて好きだと思える文章があったら、ノートに書き出してみましょう。最初は作業的に書き写しているだけで、なにか意味があるのかと疑問に思うかもしれません。

 

徐々に、自分が好ましく思う文章に共通項が見いだせたり、作者ごとの文体のクセがわかってきたりします。繰り返しているうちに、文章を分析的に見られるようになるのです。

 

「読む」で身に着けたノウハウを生かして「書く」

「読む」だけではなく「書く」アプローチも大切です。読書感想文や日記など、ジャンルはなんでもよいので、とにかく文章を書く習慣をつけてください。

 

もちろん、上手く書くためには相応のノウハウが必要ですが、それは「書くために読む」ことで少しずつ獲得できます。つまり、本を読む際に「なるほどこういう書き方があるのか」「ここは取り入れてみよう」と自分で書く際のことを想定するようにするのです。連動して読み込みの精度もグッと上がります。

 

最初は「上手く書く」≒「模倣」になりがちですが、それで問題ありません。書き慣れていくうちに、少しずつ身についていくはずです。

 

「読書感想文や日記では退屈だ」と言う人は、「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どうした」のゲームを通して話をつくるアプローチもあります。詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

【実力向上】国語力がないと嘆く前に。「創作あそび」で楽しく作文!
www.nobikoto.com

 

わからない言葉は調べてその場で覚える

国語の宿題でよくあるのが「わからない言葉の意味を調べて書かせる」というものです。しかし、ただ辞書を丸ごと書き写してもなかなか暗記できるものではありません。わからない言葉が出てきたら、その場その場で覚えきるつもりで臨みましょう。

 

もちろん、そうはいってもすべてを頭に入れるのは難しいものです。その場合は、意味を書き出すと時間がかかるので、言葉だけノートに書き出しておいて、あとで自分が意味を答えられるかどうか試してみることをおすすめします。

 

読書は音読したほうが効果的って本当?

たしかに、塾では時間が許せば、生徒に音読させていました。音読させた一番の理由は、漢字の読み間違えが多かったからです。


黙読させていてはどの漢字の読みを間違えているのかがわかりません。加えて、読書が苦手な子供は、文章を「読んでいる」のではなく、「眺めている」状態に陥ることがままあります。集中力を引き戻すためにも、音読は効果的だったのです。


ただ、自分ひとりで本を読む際に、わざわざ音読する必要はありません。自分の声とはいえ没入を妨げるノイズになってしまいかねないでしょう。自分が一番本に集中できる方法を選んでください。

 

読書嫌いの子供に本を読ませるには

読書があまり得意ではない子供に、本を読ませるきっかけを作るにはどうすればよいのでしょうか。

 

本に興味を持ってもらうには面陳がよい

リビングに本を面陳(表紙が見える並べ方)できる棚を置いてはどうでしょうか。子供自らが積極的に本を手に取りに行ける環境作りが大切です。

 

書店では、一番売りたい本を入り口近くの「島」と呼ばれる什器に面陳します。動線上、目につきやすい場所に本を並べると売り上げにつながるためです。

 

間取りにもよりますし、家庭のスタイルにもよりますが、家庭の動線の中心はリビングのケースが多いです。なお、置くのならばリンクのような本棚がおすすめです。

 

ジャンプのノベライズを入り口に

「鬼滅の刃」を始めとするジャンプの人気コンテンツが好きなのであれば、そうした作品のノベライズを入り口にする手もあります。近年、ジャンプの人気作品は軒並みノベライズ化しているので、読書好きではない子供におすすめする最初の一冊としてぴったりです。

 

ゲーム好きの子供はドラゴンクエストから入るのがおすすめ

当ブログの別記事でも触れましたが、私自身、一番転機となったのは久美沙織著の「ドラゴンクエストⅣ」のノベライズ、および派生作品の「精霊ルビス伝説」でした。

 

タニス・リーの浅羽爽子訳を彷彿とさせる、比喩を多用した文体は素晴らしく、その筆致の繊細さ、美しさを思うと、いまも胸が熱くなります。語彙も展開もあえて子供向けを目指していない感があり、だからこそ際立つ魅力がありました。手にとったのは、小学二年生の頃です。

 

もともと本好きではありましたが、ドラゴンクエストというコンテンツを通して、文庫本を何冊も何回も読み込んだ経験はその後に大きく影響しました。ドラゴンクエストのⅣやⅤ自体はプレイしていなくても、ドラゴンクエストヒーローズをプレイしていてキャラクターを知っている子供であれば、興味を持つかもしれません。おすすめです。

 

子供向け図鑑を足がかりにする方法もアリ

「物語はなかなか読み慣れなくて」という子供には、大手出版社が出している子供向け図鑑から勧めてみるのもよいでしょう。子供が関心を寄せるテーマの図鑑を買って、説明文やちょっとしたコラムを読むところから始めるのです。

 

なお、図鑑で一番の売れ筋は小学館のNEOシリーズ。ナビゲート役のドラえもんでおなじみです。ほかにも学研や講談社、ポプラ社など名だたる出版社が子供向け図鑑を出しています。DVDが付属するものが多く、楽しめます。

 

文章読解って難しい! 問題文を読み解いてみよう

問題文に挑むのもまた読書です。文意を読み取る力をアップするためには、どうすればよいのでしょうか。

 

問題文を読んだあと要約をしてみる

文意を読み取れているかどうかを確認するには、要約文を書かせてみるのが一番です。まずは、物語文ではなく説明文で挑戦してみてください。構成にメリハリがありまとめやすいはずです。


要約は、「書かれている内容の中で、なにが重要か重要でないかを取捨選択する作業」といえます。塾の授業でもよく要約をさせましたが、最初、生徒たちの出来具合には大きな差がありました。回数を重ねていくごとに「どこに注目して読めばよいか」への理解が進み、レベルアップしていったのです。

 

ただ、このやり方は要約を採点する側のスキルも求められるので、保護者だけで赤入れするのが難しいようであれば、塾や家庭教師にフォローしてもらうのがよいでしょう。

 

説明文の場合、冒頭の段落に隠れている問いを探す

説明文では、テーマを冒頭の段落で提示する構成が多いです。冒頭と言っても第一段落とは限りません。第二段落や第三段落の場合もあります。

 

たとえば冒頭部で「では、男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく生きるべきなのでしょうか」という疑問が投げかけられていたとします。オーソドックスな構成だと、そのあとに具体例が続き、最後まとめの段落が来るはずです。

 

読み手は「なるほど、これはジェンダーについてがテーマなのか」と理解できます。冒頭部で投げかけられる問いを見落とさないようにしましょう。

 

問題文を読む際に線を引くクセをつける

問題文の中で、重要な箇所には線を引くクセをつけましょう。長文の量に圧倒されて、頭の中がグチャグチャになってしまう子供は多くいます。見直す際に優先順位の高い箇所をメインに拾い読みできるよう工夫してみてください。

 

指示語が出てきたら線を引く

読み流してしまいがちな指示語ですが、線を引いてなにを指す言葉か、矢印でつなげて確認しておきましょう。指導していると、指示語の内容を理解していないため、カン違いしたまま読み進めているケースがよくあります。

 

テストで知らない言葉が出てきたら文脈で判断

家庭学習でなら辞書をひけばよいですが、テスト中となるとそういうわけにもいきません。前後の文脈から文章の意味を推測する必要があります。特に、何度も同じ言葉が出てくるときは、それぞれの文脈を比較しながら意味を推理しましょう。何度も出てくる言葉はその文章におけるキーワードであることが多いです。

 

読み取る力をつけるため文章を効果的に読もう

国語力の向上には読書が一番おすすめです。

 

マンガでもノベライズでも、好きになれる本をできるだけたくさん読みましょう。ただ「読む」のではなく、「書く」を前提として「読む」ことで、読み方も書き方も変わり、国語力は飛躍的に伸びます。

 

ただし、受験生ともなると手当たり次第本を読んでいる時間はないので、ノウハウを意識しながら問題文と向き合うやり方での「読書」をおすすめします。

 

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