第一志望校の模試の結果が悪いと、「このままで大丈夫なんだろうか」と不安に駆られます。まして、悪い結果が出たのが受験直前であれば、焦らずにはいられないでしょう。
この記事では、塾講師時代に私が見てきた模試の結果と実際の合否について紹介します。
初回の模試の結果はアテにならない
教育熱心な家庭の子供がよく受ける全国統一小学生テスト。たとえば低学年で受けると、思いのほか悪い偏差値になるケースがあります。
「それなりに勉強ができると思っていたわが子が、まさかこんなに低い偏差値なのか」と、多くの家庭は動揺するものです。これまで担当してきた生徒の中にも、何例もありました。「どう見ても優秀なのに、この手のテストの偏差値はやけに低い」といった現象です。
これは不思議でもなんでもありません。小さい子供ほどテストの受け方をよくわかっていませんし、答案の書き方、見直しのタイミング、問題の優先順位。そういった場数を踏めばなんでもないことで、いちいちつまずいてしまうのです。
たとえば、地域の最難関中学に受かった教え子の、小学校4年生時の偏差値は40台でした。初回でよく勝手がわかっていなかったようです。その次のテストで、70前後まで偏差値を上げていますし、類似する事例は何件か見ています。偏差値が悪いからといって、落ち込む必要はまったくありません。
ただし、どこで間違えたのか、なにが減点ポイントだったのかは分析し、子供と共有しておきましょう。
全国統一小学生テストについての記事はこちらです。
【中学受験】全国統一小学生テストで偏差値が低い! 難関中学に受かる?
四谷大塚の合不合判定テストが悪くても合格はある!
合不合判定テストや合格判定テストの結果が悪くても、落ち込む必要はありません。理由を以下に説明します。
合格率が20%でも受かる子供は受かる
四谷の合不合判定テストを受けて悲惨な結果に、「ううっ」と項垂れている家庭も多いことでしょう。しかし、これも落ち込み過ぎてはいけません。
なぜなら、塾講師をしていた頃、合不合で悲惨な結果が出ても、合格を勝ち取る生徒はある程度いたからです。ある程度というのは、もちろん一人二人ではありません。ちなみに私自身大学受験前の模試で悲惨な結果をたたき出したことがありますが、ぶじ第一志望に合格しています。
当然のことながら、合不合判定テストに限らず、模試は絶対ではありません。当日出る受験問題とはまるで内容も異なりますし、出題傾向も違います。子供のコンディションもそのときによって変わってくるものです。ですから、たとえば合不合で合格率20%と出ても「だから無理」とはなりません。
それに実は合格率の開きからイメージされるほど、模試の点数差は大きくはないのです。合格率20%判定の中で上位なのであれば、頑張れる余地はあります。トータルで50点アップしただけでも判定はガラリと変わるでしょう。
塾側の目安としては「第一志望の合格率は40%以上出していてほしい!」というのが本音です。しかし、「40%に足りていないから受からない、というわけではない」ことも経験上知っています。
ほとんどの子供の偏差値はブレている
合格ラインの偏差値が70の中学を目指す、受験直前の段階で偏差値が40の6年生がいるとしましょう。この場合は、よほどの強運の持ち主でもない限り、まず不合格です。では、合格ラインの偏差値が70で偏差値60ならどうでしょうか。可能性はあります。
なぜなら、生徒のテストを見ていても、だいたいテストごとに偏差値10前後のブレがあるからです。これまで出会ってきた生徒の中でブレが一番少なかったのは、某模試で全国一位をとった子供でした。さすがにこのレベルになると、テストはほとんど満点です。「偏差値が変動するのは平均点が変動するから」というだけでした。
しかし、最難関中学を受ける子供でもまずそんな突出した成績ではないので、10程度の変動は珍しくありません。
恐ろしい話ですが、苦手な単元に引っかかれば下がりますし、コンディションが悪くても下がりますし、時間配分を間違えても下がります。
逆に模試の問題や当日と体調次第でドーンと上がることもあるわけです。
合格率が上がったことがない子供でも受かるケースはある
「いや、うちの子供はそもそも合格率が上がったためしがないんだけど……」という声もあることでしょう。「どうしたら、模試で点数がとれるんですか!」と嘆く親御さんともたくさんお話してきました。
点数がとれない子供の多くは授業中集中できていなかったり、家庭習慣が軌道に乗っていなかったり捨て問がわかっていなかったりします。
その場合は「いかに子供が勉強できるようにするか。今必要な受験対策はなにか」について具体的な話を進めていきます。
しかし、授業に集中できていて、学習習慣も確立されていて、どれを捨て問にすべきかもわかっているのに、模試の偏差値が悪い子供もいないわけではないのです。
それぞれの模試にはクセのようなものがあります。
中には「子供と問題の相性が悪い模試」もあるのです。
受験校の出題傾向との相性さえよければ、受かる可能性は大いにあります。受験校によっては、模試とはまるで異なる独自性の強い問題を出す学校も少なくありません。
親が悲観的にならないことが大切
合不合の結果が悪いのに子供がけろっとしていると、親は焦りを募らせがちです。つい子供にきつく注意を促してしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、それでは子供は自信を失ってしまいます。
大切なのは、総合的に見て子供がどのラインにいるのかということ。
模試と過去問の出来を比較し、差が大きいようであれば、塾の見解を聞いてみてください。もしかしたら、安心できるような答えが返ってくるかもしれません。
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