夏期講習が終わり秋になるこの時期、多くの受験生が焦っています。「なにをしたらよいのかわからない」となりがちな秋こそ、優先順位を見定めてタイムロスを防ぐことが大切です。この記事では元塾講師の立場から、中学受験の秋にやるべきことを紹介します。
- 小6の秋に慌てる子供が多いのはなぜ?
- 偏差値が上がらない子供の特徴
- 秋からの過去問。ミスを疎かにしないで
- 煩雑な学習管理のタスク。親が担うべきなの?
- 秋になったら志望校の出題傾向を意識して
- 偏差値が10程度上がるケースも
- 小6秋から、ほかの中学受験塾への転塾はアリ?
- 秋からは志望校対策を!
小6の秋に慌てる子供が多いのはなぜ?
小6の秋になると、急に慌てだす子供は多くいます。「夏期講習後の模試で成績が急落した」「夏休み中に、勉強の遅れをなんとかする予定だったのになんともならなかった」などその理由はさまざまです。
実際、夏期講習後の模試で成績が大きく下がってしまうケースはよくあります。夏は皆が一斉に頑張りますから、成績が大きく入れ替わりがちです。
「夏期講習後の模試の成績は不安定」ともよく言われるので、この一回の結果が悪い分にはよいのですが、そのまま停滞するようであれば勉強の仕方の見直しが必要となります。
夏期講習中は塾に毎日足を運んでいたため、塾講師との綿密な連携がとれていた子供も、秋になるペースを見失うケースが少なくありません。また、学校が始まり、夏休み中との生活リズムの違いについていけないケースもあるでしょう。
偏差値が上がらない子供の特徴
塾で子供たちを見ていると、成績の上がる子供と上がらない子供の勉強の仕方の差は歴然です。成績の上がらない子供には、必ずと言ってよいほど、あるひとつの特徴があります。間違えた問題へのやり込み度の低さです。成績の上がる子供は自分が間違えた問題は徹底的にやり直します。その日にやり直し、間を置いてやり直し、解けるまで徹底的に仕上げるのです。
対して、成績の上がらない子供は間違えた問題をあまりやり直しません。「あまり」というのは、まったくやり直さない子供は少数で、だいたいの子供は形ばかりはやり直してみるのです。しかし、模範解答をそのまま書き写してわかったような気になってしまう子供が多く、自力で解けるよう仕上げる習慣づけができていません。
そうこうするうちにわからない問題の数が膨れあがってしまい、手に負えなくなっていきます。こうなる前に塾講師に現状を報告しアドバイスを求めることが必要です。
秋からの過去問。ミスを疎かにしないで
秋からは過去問のやり込みが本格化します。どのように進めればよいのでしょうか。
初めて過去問に挑戦する時期はいつ?
御三家レベルを受ける子供は、すでに夏から過去問をやり込んでいるでしょう。それ以外でも、夏から始めている子供はちらほらいます。あらかじめ塾から「秋から過去問を始めるように」と伝えられていても、待ちきれずに「実力試し!」と始めているケースです。
実際には、過去問は上位校狙いなら9月、中堅校以下狙いなら11月に始めるのが目安です。「意外と遅い!」とびっくりされますが、あまりにも実力不足のうちから挑戦しても焦りばかりが募ってしまいます。逆に言えば、焦りが足りない子供ほど早めに過去問をやらせるのがよいでしょう。
なお、夏にしろ、秋にしろ、初めてやった過去問は合格ラインにまったく届かないことが多いです。結果が悪くても落ち込まず、現状を受け止めましょう。
過去問の正答率はどのぐらいならセーフ?
最初に過去問に挑戦した段階では、合格ラインに届かないのは当然だとして、何割ぐらい得点できていれば合格できる見込みがあるのでしょうか。
まず、9月に過去問に挑戦して、三割とれていないのは危ないです。模試の合格率が四割以上なのであれば、それなりに実力はあるものの過去問の出題傾向に寄せた勉強ができていないのかもしれません。塾の先生と相談して勉強の内容を早急に見直しましょう。
12月までに合格ラインの七~八割には到達したいところです。そこから追い上げて一月末までに合格ラインに届くようにします。
過去問を解く際の注意点
とりわけ、算数の過去問は時間内に解くのが難しいボリュームであることが多いです。そのため、最初から時間を計らずにダラダラ解く子供はとても多くいます。
しかし、これはNG。過去問に挑戦する際は毎回必ずタイマーで時間を計ってください。実際にかかった時間も過去問の端にでも日付とともにメモしておくとよいです。決められた時間に慣れておかないと、当日の感覚がつかみづらくなります。
過去問を解き終わったあとの注意点
まずは、時間内に解けなかった問題は含まないで採点してみましょう。そのあと、時間外に解けた問題も含めて採点してみます。その点差を埋めるために必要なのはスピードです。
どうすれば早く解けるようになるか、塾の先生と相談しましょう。おそらく、苦手な箇所をピックアップしてやり込むよう勧められるはずです。間違えた問題やわからなかった問題の解き直しは必ずしましょう。
点数が上がらないタイプの子供は、過去問において「今回は何点だった!」と報告して満足してしまう傾向にあります。
しかし、これではいつまでたっても、解けない問題が解けるようにはなりません。わからないところを把握するためにやっているはずの過去問がただのタイムロスになってしまいます。
煩雑な学習管理のタスク。親が担うべきなの?
間違えた問題やわからない問題を子供にその都度やり直させるためには、問題集やノートをきっちり管理する必要があります。成績アップの要となる作業です。しかし、こうした管理が得意な親もいれば、苦手な親もいることでしょう。
加えて、忙しいとなかなかそこまで手が回らないのではないでしょうか。その場合は、塾に相談してできるだけサポートしてもらうか、経済的に余裕があるのなら家庭教師や個別指導に一任してしまいましょう。悔いのないサポート体制で受験本番をむかえたいものです。
元SAPIX・日能研・四谷大塚講師が運営。プロ講師が個別指導。
秋になったら志望校の出題傾向を意識して
秋になると、志望校の出題傾向を意識した勉強をするようになります。塾の先生に相談して、例年の出題傾向からやるべき単元の優先順位を教えてもらってください。その中でミスを徹底的につぶしていきます。
もし、先生の優先順位の絞り込みが甘いように感じられたなら、ほかの先生の意見も求めてみましょう。先生の能力や、ベテランかどうかによって、判断の精度も変わってきます。信頼できる先生にお願いしてください。
偏差値が10程度上がるケースも
塾に学習の優先順位を整理してもらい、間違いのやり直しを徹底して、苦手単元の克服をはかることで、秋以降で偏差値が10程度上がったケースも実際に知っています。
とりわけ中堅校狙いレベルの生徒は勉強の仕方を変えるだけで大きく結果が変わってきます。
小6秋から、ほかの中学受験塾への転塾はアリ?
小6秋になっても一向に成績が上がらないと、思わず転塾を考える家庭もあることでしょう。しかし、さすがに秋からの転塾は子供にかかる負担が大きいです。使っている教材だって異なります。
経済的な事情が許すのなら、通っている塾に家庭教師や個別指導をプラスして対応するとよいでしょう。
秋からは志望校対策を!
なにを勉強しなければならないかを考えるより先に、なにが原因でタイムロスをしているかを考える作業が、成績の上がらない子供には必要です。
頑張っているのに結果に結びつかない子供は特に、間違えた問題を自力で解けるレベルにまで仕上げられていない可能性があります。間違えた問題のやり直しは複数回、期間をあけてやってみてください。
ただし、こうした勉強の管理を親が一手に担うのは大変です。経済的な事情が許すのであれば、家庭教師や個別指導といったサービスを活用したほうがよいでしょう。
元SAPIX・日能研・四谷大塚講師が運営。プロ講師が個別指導。
秋以降は、いかに志望校を意識した勉強ができるかが問われます。塾とよく相談して優先順位を整理してもらいましょう。
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