中学受験本番を控えた1月、朝から塾に詰める受験生をたくさん見かけました。中にはカギが開くのを早く来て待っている生徒さえ数名いたものです。もちろん、冬休みが明ければ小学校は始まります。しかし、この時期の受験生の多くは「学校に行かない」という判断をしていました。
この記事では元中学受験専門塾の塾講師の立場から、中学受験のために1月は小学校を休むべきかどうか、休むとするなら連絡はどうするべきかを紹介します。
1月に小学校を休む子供は落ちるって本当?
中学受験界隈では、まことしやかに「1月に小学校を休む受験生は落ちる」とささやかれています。しかし、当然ながらこれはただのジンクスです。私の勤めていた塾では、1月に小学校を休んで受かる生徒もいましたし、落ちる生徒もいました。
「ギリギリになって慌てても仕方ないし、慌てるような勉強をするほうが無計画だ」というのは正論ですが、実際問題中学受験は広範囲から出題されるので、「準備万端!」で臨める子供はごくわずかでしょう。
受かるか落ちるかの瀬戸際にいる子供が、ギリギリのところで踏ん張って、なんとか滑り込んで受かった事例も知っているので、「慌てても仕方ない」といった意見には賛同できません。
ただ、小学校を休めば本来の生活リズムから離れることになるため、子供の体調やメンタルには注意が必要です。
また、「学校に行くとインフルエンザや風邪のリスクが!」との声もよく聞きますが、塾にリスクがないわけではないので、そこを基準にした判断は難しいといえます。
実際どのぐらいの子供が休んでいるの
私の勤めていた塾では半々でした。近隣の学校が中学受験に対してオープンな校風だったので、近くから通っている子供たちは休む率が高かったです。
親御さんも「うちの学校だと受験する子がかなり多いですし、例年受験生はほとんど休んでいるみたいで、学校のほうからどうするんですかと訊かれたぐらいです」と説明していました。
対して、遠くから通っている子供たちは出席している子が多かったです。「休んでる子うらやましい! うちの学校はそういう感じじゃないんだって!」「学校の勉強は正直簡単すぎてこの時期やりたくないけど、友達には会いたいし」などさまざまな声がありました。
休むかどうかを親だけで決めないようにする
親だけで一方的に「休む」と決めてしまうと、子供が納得しない可能性があります。
「俺は学校行きたかったのに、親がなんか知らない間に、学校側に休むって言ってたらしくてさー。みんなに会いたいよ」とブツブツ言いながら塾に通っていた子供もいました。
休む休まないはその家庭ごとの判断ですが、子供になにも告げない、あるいは一方的に決めてしまうのは大事な時期に子供のメンタルを挫きかねません。子供と話し合う時間を設けましょう。
その際には事前に塾と話し合い、「今必要な勉強の内容」を把握しておきます。「これだけやらなければいけないことがある」と提示して、いかに時間が足りないか納得してもらう必要があります。
休むのであれば早めに学校に伝えておく
休む理由を取り繕う必要はありません。例年、受験生がいる学校であれば対応も慣れたものでしょう。
ただし、学校によって方針はさまざまなので、「休むのは困る」と言われることも覚悟しておいてください。
受験生に慣れていない学校なのであれば、「同様に休んでいる子供たちが他校にいること」「今どのぐらい勉強しなければならない状態にあるか」などを伝えてみましょう。
ただ、学校が強固に反対する場合は、無理に休むのはおすすめしません。
睡眠時間を削らざるを得ないなら、学校を休むことも検討しよう
受験前にやるべき勉強が片付かず、学校に行くことで睡眠時間を削らざるを得ない状態に陥るのであれば、学校を休むのもひとつの選択肢です。
なお、受験生の寝る時間についてはこちらの記事で紹介しています。
また、受験に対する不安で本人がなんとしても受験を優先したいという場合も検討してあげればよいでしょう。つまり、臨機応変な判断が必要ということです。
一方で、休む可能性があるのであれば、あらかじめ学校側とは話し合っておいたほうがよいでしょう。「休むかどうかはまだ決まってなくて……」という場合でも、可能性がある旨だけは学校に早いうちに伝えておいたほうがトラブルになりづらいです。
しっかり話し合い、親子ともに悔いの残らない道を選んでくださいね。
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