中学受験は「親の受験」とよく言われます。親は子供の伴走者として送迎、弁当の用意、宿題のチェック、プリントの整理、わからない問題の洗い出しなどさまざまな役割を求められるためです。
教育メディアの受験関連の記事においては、暗黙の了解で「親」=「母親」のケースが多くあります。では、中学受験において父親の役割とはなんでしょうか。父親は不在のままでよいのでしょうか。
この記事では、中学受験における父親の役割とはなにかを元塾講師の立場から紹介します。
- なぜ母親に中学受験の負担が偏りがちなのか
- 塾で見る限り、父親の参加は増えてきている
- 両親が協力している家庭のほうがストレスがたまりにくい
- 「父親」というよりは「家族の一員」として我が子の受験サポートを
なぜ母親に中学受験の負担が偏りがちなのか
中学受験のサポート役を務めているのは、母親が多いです。日本の社会の中で、まだまだ育児負担が女性に偏りがちな現状があるからでしょう。
実際、私も教育関係の記事のライティングを依頼されるときに、「母親をターゲットに書いてください」と言われた経験が何度もあります。「親」や「保護者」の表記を「ママ」や「母親」に修正されたことも、一度や二度ではありません。
毎回、「家庭ごとの事情があるのを見てきているので、性別で役割を固定化したくない」と食い下がりますが、その手の主張が通ったケースはほとんどないです。実際、教育系の記事のメインターゲットが、現状において母親だということは間違いないのでしょう。
しかし、だからといって、「子供のサポート」=「母親の役割」という構図を固定化するような記事ばかりスタンダードでは、母親への圧力が強まるばかりです。メディアがそういう空気の醸成に加担している部分は大いにあるでしょう。なんとか変えていきたいところです。
塾で見る限り、父親の参加は増えてきている
少なくとも塾講師として私が見てきた限りでは、父親の中学受験への参加度は上がってきています。
父親が仕事と並行して中学受験をサポートする家庭、お弁当作りが父親担当の家庭、曜日によって父親が送迎を担う家庭、家での学習指導はすべて父親など、いろいろなパターンがありました。
母親がメインで携わる家庭のほうが多かったのは事実ですが、すべてを母親任せにする家庭は、最近では圧倒的に少数派です。
仮に母親が専業主婦であったとしても、子供の中学受験を母親だけが担う理由にはならないはずです。夫婦だけでは手が回りきらない場合は、祖父母が積極的にサポートしている家庭もありました。各家庭の事情に合わせた配分で担当を決めるとよいでしょう。
両親が協力している家庭のほうがストレスがたまりにくい
母親のワンオペで中学受験サポートをこなしている家庭の場合、「当事者である子供以上に母親のほうが疲れてしまう」ケースはよくあります。以下の記事でも紹介しました。
【母親の中学受験疲れ】受験勉強に疲れるのは受験生だけではない
中学受験のサポート役は、諸々の実務を毎日処理しなければならないだけでなく、「本当に合格できるのか」「志望校はこれでよいのか」「全落ちしたらどうしよう」と常に不安と戦わなければなりません。相当なストレスが溜まります。
自分が当事者でないからこそ、「どうしよう」「なんとかしたい」と不安からくるイライラが、子供へと向かいやすいです。
けれど、もし、そうした不安を夫婦ふたりで分かち合えていたらどうでしょうか。ひとりで抱え込むよりずっとラクになれます。子供へのイライラも緩和されるはずです。
「父親」というよりは「家族の一員」として我が子の受験サポートを
中学受験において、父親だからこその役割というものはありません。家庭ごとに共有すべき内容、分担すべき仕事を見極めて、取り組んでいくのがよいでしょう。
なお、父親も母親も多忙で、サポート役は難しいということであれば、面倒見のよい中小の中学受験専門塾に移るという手もあります。あらかじめ事情を伝えてみてはどうでしょうか。
とにかく両親のどちらかひとりでも参ってしまっては大変です。負担を軽減して円滑に回していくためにはどうすればよいか、という視点でやり方を考えましょう。
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